メールマガジン【医師のための禅】

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《 医師のための禅 》
その85
2007.3.28

 〜医療 福祉 経営と禅  その9〜

”広報活動と脚下照顧”
    
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小泉政権で強引とも言える財政改革の一環としてバタバタと行 われた診療報酬、介護報酬の改定 医療法、介護保険法の改正により医業・介護事業収益が大幅にダウンする事態に至り、多くの医療・介護機関においてはより一層のコスト削減にばかり目が行っている状況にある。

無駄を省くことは良いことだが無理をして原材料や外注の原価、人件費を中心とする販管費の削減を行うと職場環境が暗くなり、又質の低下も来たして返って患者さん達からの評価を下げることになる。コスト削減にも増して大切なことはいかにして収益 の増大をはかるかに工夫をしなければならない。

それには自院にとっての得意技の再構築を行うことにより効率を上げ、加えてそれに必要な設備と患者さんにとってのアメニティー(建物設備の心地良さと職員によるホスピタリティ)を徹底的に病院の商品として磨きあげることである。又、病院の広報活動としてホームページやその他の広告宣伝にお金やエネルギーを費やすよりも8割方効果があると言われるクチコミという最も基本的な戦略に戻ることが今まさしく求められている。
 
クチコミは患者さんや他院からの紹介患者をもたらし、それが定着すれば病院のブランドとなり、積極的な広告宣伝(プッシュ戦略)をしなくても、良い医療を求める患者さん達やマスコミが自然と引き込まれるプル戦略に変わるのである。

国や行政の施策への対応、ライバル機関への対策など自院の矢印が外に向かうのではなく、自院の商品がお客の真に求める価値に則しているかという観点で自院の足元を見つめ直す、即ち 「脚下照顧」である。

脚下照顧は昔、中国の禅師と弟子が夜の山道を歩いていた時、 突然の風で提灯が消え弟子の僧が真っ暗で何も見えないと禅師 に訴えたところ、禅師は足元をよく見るのだと諭したことに由来する。禅道場では玄関に入ると「脚下照顧」という立札があるが、それは履物をそろえよ、よく自己を見つめよと注意を喚起している。
                                                          


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