メールマガジン【医師のための禅】

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《 医師のための禅 》
その64
2005.7.13

 〜乾糞けつ (かんしけつ)〜
    
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 無門関第21則の公案で老師の雲門文偃に弟子の僧が「仏とは」
 と問うたところ、それは乾いた糞かきベラと答えた。仏という
 大変清浄なものに対して敢えて汚いとされるクソベラを例えた
 のには訳があるのである。
 
 我々は対象物を説明したり意義づけする場合、すぐ相対的に汚
 い、きれい、大きい、小さい、多い、少ないなど二元的、対立
 的に思考するクセがついている。クソは肥やしになったり、動
 物、バクテリアに対しては素晴らしい住みかや栄養物ともなる。
 近年文化的で便利な生活のために清潔過剰や環境制御で返って
 人間の環境に対する耐性を弱め、免疫力を低下させ、運動不足
 やストレスも加わって生活習慣病を来たしてしまっている。
 
 物事を大宇宙、自然原理でみるならば無常(常に変化する)無
 自性(きれい、汚いは人間が身勝手に決めつけているが、他か
 らみれば多くの可能性を秘めた実相である)であり、仏性であ
 る。このような絶対感を持つことが平和や真の豊かさをもたら
 すものである。
 
 ※タイトルの「乾糞けつ」のケツは木ヘンに厥という漢字です
 が、文字コード表にこの字がありませんので、ひらがなで表記
 させていただきました。



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