メールマガジン【医師のための禅】

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《 医師のための禅 》
その63
2005.7.04

 〜放下著 (ほうげじゃく)〜
    
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 従容録第57則にある公案である。放下とは放り投げる、棄て
 ることであり、著とは放下を強調する語で捨ててしまえとなる。

 我々はややもすると問題にブチ当たると問題が複雑である程、
 部分に執着して解決どころか迷路に入ってしまう。又、自分の
 我欲にとらわれて問題の本質を見失ってしまい、間違った答え
 を出してしまいがちとなる。又、一度手にした財産や地位を失
 うまい、永続して欲しいと願うために、周囲の状況が変化して
 いるにもかかわらず、それに執着したがために対策が後手とな
 り、返って失う結果を招くことになる。
 
 一般的に人は誰でも失敗の体験から多くを学び、次なる行動に
 生かすものだが、成功体験に於いてはひとときの成功というこ
 とを忘れ、何にでもそれは通じるものと思い込み、変えたくな
 いと思うものである。医師の地位や所得も患者の価値観や技術
 革新、世代間のギャップなどでガラガラと変わる。医師として
 人の生老病死にかかわる大切な仕事に対して今一度自身のあり
 方を放下著で再構築することが求められている時代ではないで
 あろうか。



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