メールマガジン【医師のための禅】

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《 医師のための禅 》
その62
2005.7.01

 〜冷暖自知 (れいだんじち)〜
    
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 火が熱いか暖かいか、氷は冷たいか熱いかを知るには自らが
 体験するしかない。触れるか、近づくかによってヤケドもする
 し、暖を採ることもできる。また、氷にしても手がかじかんで
 いればそれほど冷たく感じないだろうし、風邪で悪寒の時には
 ぞっとするであろう。凍傷の場合ならばむしろ火によるヤケド
 と同じ症状となる。いずれにしても知識や理屈を考えるよりも
 体験をするに越したことはない。これは何も物対対人だけのこ
 とではない。人対人に於いても同じことが言える。
 
 良医とは患者さんの痛みや苦しみをしっかりと受け止めるこ
 とであり、医師の自分が病気になってはじめて患者さんの気持
 ちが心から理解できたというドクターは多い。禅に於いてはこ
 れをもって禅の真髄は言葉や学問としてではなく、自らの体験
 によってしか会得することができないことを言い表わし,坐禅
 や公案により徹底して修行することを求めている。




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