メールマガジン【医師のための禅】

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《 医師のための禅 》
その61
2005.6.22

 〜世尊拈花(せそんねんげ)〜
    
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 無門関第6則にある公案である。お釈迦様が弟子も含めた大衆
 を前にした説教の会に於いて優曇華(うとんげ)(金婆羅華)
 をひねって大衆に示したところ、大衆がいぶかる中、摩訶迦葉
 ただ一人破顔微笑して応じた。そこで初めて釈尊は口を開き、
 「我に正法眼蔵 涅槃妙心、実相無相 不立文字 教外別伝なり、
 摩訶釈葉に付嘱す」と。
 
 正しい仏法は変転する様々な状況にも自在に働く心、形や分別
 にとらわれない真理を宿した実在いわゆる空(無)の眞理であ
 る。これを伝えるには文字や言葉を用いず心をもって教える、
 即ち以心伝心で仏法の真髄を伝えるものである。それを悟った
 釈葉に渡したので後継者として託すと言われた。我々は得てし
 て文字や言葉や形で物事を伝えられると思っているが、その奥
 にひそむ真理はなかなか伝わらない。心と心が通じ合い、から
 だで表現することにより真意が伝わる。免許皆伝とはそのこと
 であり、そしてそれを受けた者は次代に伝える義務がある。



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