メールマガジン【医師のための禅】

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《 医師のための禅 》
その60
2005.6.10

 〜香厳撃竹大悟(きょうげんげきちくたいご)〜
    
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 香厳智閑禅師が師のい山霊祐(※1)より「不母未生己前の自
 分とは」という公案を与えられたが、この問題が解決できず、
 文字知識の及ばざることに気づき、自分が今日まで所持してい
 た書籍を全て焼き棄てて山にこもり、一人修行に励んでいた。

 ある日、道を掃除していた時、たまたま小石が飛んで竹にあた
 った。その響きに香厳は大悟したと言う。私たちは難問に突き
 当たると往々にしてそれを避けたり、逃げたりして先送りした
 りしてごまかしてしまい勝ちである。自分にとって真の問題解
 決はとことんそれをつきつめ、迫ることによってしか避をぶち
 やぶったり越えたりはできない。問題解決のひらめきは自分か
 ら作り出すというものよりも向こうの方からやってくる(向来
 の道取)ものであり、解決へのひたむきな努力と緊張が一瞬ほ
 ぐれた時にそれがもたらされるものである。

  人の生命に係る医師にはとりわけ患者のかかえる難問に対し
  て常に真剣勝負が求められている。

 ※1「い山霊祐」の「い」の字は文字コード表にこの文字がありませんので、   ひらがなで表記させていただきました。(さんずいに爲という字)




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