メールマガジン【医師のための禅】

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《 医師のための禅 》
その59
2005.6.02

 〜庭前の柏樹子〜
    
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 無門関第37則に記されているこの公案の大意は、趙州和尚に
 弟子が「如何なるか粗師西来意」と問うたところ、師は庭前の
 柏樹子と答えた。その本意は何か答えよというものである。

 租師とはインドで禅を継いだ釈迦から数えて第28祖である。
 達磨大師がインドか西の中国へ渡って来たのは禅の真髄を伝え
 るがためであるが、その本質はあるがまま、今ここの命を心の
 底にドーンと落ちる、悟ることである。それは目の前の庭に聳
 え立つ柏樹子(びゃくしん)である。柏樹子でなくても目前に
 あるそのままの実相ならツツジであろうが何でも構わない。
 このような質問に対して柏樹子とは何だろうと言葉や文字の分
 析をしたのではそのものの命を失ってしまう。理屈ではない、
 柏樹子と自分が一体、今にそのものになり切る、そして天地の
 大宇宙が一体と感じることである。





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