私達はややもすると一つのことをするのにそこに全力を集中することを怠り、ながら族さながらあれもこれもと欲張って事を為そうとしがちである。

そのような中途半端な取り組みをしたのでは対象の真髄に迫ることが出来ず、次なる取り組みへのノウハウにもならず、絶大なる自信も生まれない。一つの事を徹底して極めれば他にも通 じるというように例えば武道や諸芸道、芸術や科学のその人な りの頂点を極めた人の言動や他への指導力を見れば頷けるものである。
　
道元禅師は「人もし仏道を修証するに得一法（とくいっぽう）
通一法（つういっぽう）なり」と示している。医道を修業し、 追及し、実践する上で一つのことに習熟すれば一つのことの真
髄を得る。悟ることができることを表している。アブハチ取ら
ずにならないようにしたいものである。