塾生インタビュー 藤井利雄 先生

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《 病院経営塾修了生インタビュー 》

Vol.1


 〜患者ひとりひとりに満足感を与えるのが経営〜

”医療法人透現 藤井利雄 理事長”
    
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【医療法人透現】 佐賀県杵島郡   

整形外科専門病院 一般 27床
                  
介護老人保健施設「白い石」80床

ロシアとの交流を通じて医療支援を行う。
                       



野口:本日は介護老人保健施設「白い石」のトップ、藤井利雄先生にお話を伺います。

先生は2代目でいらっしゃいますが、お父様から引き継がれて発展さ
れている今までのことをお伺いしたいと思います。

ひとつはどのような思いで経営をされているか、経営を目指す上で大切にしていることは何でしょうか。

藤井:私の父は戦争で軍医をしておりました。そして、白石へ戻って来て内
科医として開業しました。
   
母も看護師の免許を取って家内工業的な感じで開業したんですね。

僕は小学校の時「ペルテス病」という病気になりました。左大腿骨頭の
発育不全ですね。4年生の時からギプスをして母におんぶをしてもらって学校に通いました。そういう状況でしたので、父は僕の仕事については何でもいいと思っていました。僕は外科系の整形外科の医者になりました。子供の頃はいつも式の時など皆は正座で、私な特製のイスに座らされて目立って恥ずかしくてつらかったことを覚えています。

野口:まぁ、それがきっかけで整形外科医を目指されていたんですよね。やっぱりお役に立ちたいとか。

藤井:そうですね。患者さんから期待されている気持ちと感謝の気持ちが有難いですね。

経営に関しては「病院経営塾」で学んだことがこの(介護老人保健施設)『白い石』を作るきっかけとなり、いろんなことを学ぶことが出来ました。大変感謝しています。この田舎にいて、行動範囲も狭かったし、塾でのお話は本当に新鮮に受け取ることが出来ました。

野口:次に経営してきてつらかった事、又はうれしかった事はありますか。

藤井:父は開業医が一番良いと言っていました。受験勉強を通して「やればできる」、「やる気になればできる」という前向きな自信を持つことが出来ました。

藤井:けれど大学5年生の時にC型肝炎にかかってしまいまして1年間留年しました。ラグビーもやっていましたが、ペルテス病の既往があり、股関節痛のためやめました。

野口:そうですか。じゃ、うれしかったことは?

藤井:それはもう、野口先生と知り合ってこの『白い石』を作ったことです。

僕はC型肝炎を引きずっておりまして、医師になっても自分の正常な数値を見たことがないんです。それは重い荷物でした。そして、32歳で開業したんですけど、これは早いですよね。振り返ってみても。親父は勉強しなくていいからと言っていましたよ(笑)白い石を開設して、慢性C型肝炎をインターフェロンとレベトール内服で完治する事ができました。

野口:(勉強ではなくて)実践しろいう事ですね・・・・・。

藤井:父は開業医になる事を期待していました。

教室で勉強するなと・・・。僕も勉強するのが好きじゃなかったですね(笑)まぁ、だから普通の人の気持ち、患者さんの気持ちが良く分かるかもしれませんね。臨床の方が好きだったんですね。

野口:そういう方がいいドクターになりますね。
   
今後のトップとしての(個人としても)生き様、生き方はどういうところに置かれていますか。

藤井:やっぱり、先生から教えてもらったような「患者のために・・・」というのが一番大事ですね。

まぁ、経営はむずかしいし、ある程度利益を追求しないといけないけど、それだけをしていてはいけないと思うんです。まず、「患者ひとりひとりに満足感を与えるのが経営」だと思います。ひとりを大事にする、その積み重ねが結果に結びつくと思います。それは野口先生のおっしゃる通りだと思いますよ。もちろん、赤字の時もありましたよ。プレッシャーで仕事に集中できないこともありましたよ。

野口:今後、「地域医療」とか「地域包括」とかいろいろ言われていますが、病院や施設の役割はどうなってゆくとお考えですか。

藤井:老健施設を作る時にも多額の借金があったし、やる気は充分あったんですがヒト・モノ・カネが全然なかったんです。でも、補助金をもらって作りました。

みんなの期待を背負っている感じがします。恩返しをしなければならないと思っているんです。地域とも医師会のドクターなどともうまくやってますよ。まぁ、従業員の問題もありますよね。赤字では継続できませんよね。幸いスタッフにも恵まれているし、いろいろな人のアドヴァイスを聞きながら維持していくしかないと思っているんです。

簡単に「老健」だったら成功するとか、そういう問題じゃないと思っています。現代はひとりひとりの知識・技術・経験を活かしてゆくことなんだろうと思います。自分でできないことを他の人にやってもらうという連携が大事なんだろうと思います・・・。

野口:先生は大変謙虚ですね。ふつう経営者は「オレが・・」とかね。そうなるんじゃないでしょうか。

藤井:責任はそれはそうかもしれませんが、自分の見えないところ、限界があると思いますよ。自分も歳を取るし、周りに助けてもらうようになります。

野口:先生は大変感性が鋭い方ですから、総じて緻密さというよりは大きくものを見る方ですから、人にお任せすることができる・・・大事なことですね。

藤井:そうですね・・。でも、つかれますよ。

野口:そうですか。今、医師不足とか看護師不足とか人材の面で問題があると言われていますが先生のところはしっかりされていますから。

藤井:いやいや、つぎはぎの状況なんで、少数精鋭にならざるを得ないし、余裕ができないのがつらいですね。

野口:ますます、ご発展されて後継者のご子息も医科大学を卒業されて安心ですね。

藤井:そうですね。それは精神的にうれしいことですね。

野口:これからもがんばってください。

藤井:ありがとうございます。今後ともご指導お願い致します。


  (医)透現 介護老人保健施設「白い石」 Webサイト
         http://tougen.or.jp/01/


                                                          


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