病院探訪
レポート  【良き医療を目指す優れた経営の病院探訪】

このレポートは日医研の病院経営塾で学ばれた塾生
の中から大いに活躍されている先生へインタビューをし
経営意欲のある病院への啓蒙、
さらには広く社会に又、心身病む人たちへの適格な
情報提供をするためにお届けするシリーズです・・
第一回は北海道循環器病院 大堀 克己先生です。

特定医療法人 北海道循環器病院 院長 大堀克己先生 インタビュー
 
北海道循環器病院
 
 1.ご自身のロマンと病院のロマンについて
大堀克己院長
  
  院長 大堀 克己 先生 
  

 
  病院や施設を地域の人々に提供することで、職員と患者さんや家族、そして業者の方々との間に交流が生じるわけですが、その交流を通じてお互いに、今、生きてここにあることの喜びを分かち合っていただきたいのです。
  私自身もそこで働き、いささかなりとも人々のお役に 立っていることを実感しつつ、生きて在る喜びを味わいたいのです。


 
 2.経営に対する理念と経営者としての姿勢
   
 ホームページ(http://www.hokujun.or.jp)にも書いていますが、人間は一人では生きていけないということが大前提です。みなさんと同じように、人は何のために生きているのだろうと悩み、考えてきましたが、とにかく分かったことは、人は自分のためだけには生きられないということです。
  人が集まって、村ができ、やがて町ができる、ということは、やはり人々は寄り集まって生きたいわけです。私も多くの人々と一緒に暮らし、そしてその人々のお役に立ちたい。そのために私に何ができるかと考えたら、若いときから携わっている医療しかない。医療を通して同じ時代に生きている人々のお役に立ちたいということが私の理念なのです。

  もう一つは、意欲のある若い人々に力を発揮する場を提供したいということ。関東や関西と違って、北海道は以前から経済的に低迷しており、意欲のある若い人々の働く場が非常に少ない。優秀な人材は本州へ出て行ってしまうか、そうでなければ、日々、悶々として暮らしている。微力ながら私が病院や老健を建てたり、訪問看護ステーションや地域包括支援センターなどを運営するのは、このような前途有為な北海道の若者に働く場を提供したいという気持ちからなのです。

  私たちの法人には、今360人くらいの職員がいます。職場結婚してお子さんができてから復帰している人たちもいます。その人たちに、患者さんや高齢者の方々おために働き、自分がその人たちの役に立っているんだという喜びを味わってもらいたいというのが、経営者としての私の考えです。

 3.病院機能評価とISOの取得
医療機構
 病院機能評価(バージョン3・1、一般病院種別A。認定日は平成15年3月17日)は既に受けておりますが、現在、バージョン5の準備に入っています。ISOは老人保健施設「グラーネ北の沢」で、平成17年11月11日に9001を取得しました。

  老健は組織だって基準となるものがないので、ISOを取得させましたが、取得したことが終わりではなく、そこから始まるわけです。今、びしびし手直しをかけていますが、老健の職員に組織運営や情報管理等に関する認識が定着したら、ISOはお断りしようと思っているんです。
 
3年間の契約ですが、職員が組織というのはこういうものだ、文書はこういう流れなんだと理解し、必要のない文書が整理されれば、3年間をまたずに終了しようと思っています。あとは自分たちの努力で毎年、見直しを行ってゆくことになります。


4.今日までの病院の大きな歩みと今後の医療・介護への取り組み

 病院をはじめ法人としての歩みは当法人のホームページ(http://www.hokujun.or.jp)でご覧ください。心臓リハビリテーションなど私どもがとくに力を入れている分野の動画も提供しております。

(1)創傷ケアセンターの開設について
 高齢社会の進行に伴って動脈硬化が原因となる病気が増えておりますが、最近、足の指先に血行障害を起こして壊疽になる閉塞性動脈硬化症も増加傾向です。この病気には、狭窄したり閉塞した下肢の動脈にバイパス手術をしたり、風船やステントで広げたりする経皮的血管内形成術を行なっています。治りにくくなった創傷を、どうしたら足や足趾の離断をしないで治せるかというと、やはり専門的な治療方法が必要になるわけで、それが創傷ケアなのです。

(2)創傷ケアセンターの取り組みと介護との関係
 創傷ケアセンターは本来、専門外来です。老人病院などから足趾が壊死したと紹介されてきた患者さんを、急性期病棟に入院させるとベッドがふさがってしまい、平均在院日数が延びてしまいます。できれば外来で診察、治療して、元の病院や家にお帰しすることが原則です。入院もできるだけ短期間で済むように努力しております。認知症を伴っていることもありますので、介護が必要になることもあります。

5.得意とする面、または世間から高い評価を受けている面


 循環器系疾患に対する治療レベルが高く、成績が良いということです。また、お客様は病院施設のアメニティーが高く、職員のサービスが良いと誉めていただいております。まだまだ人様に自慢できる程ではありませんが、サービス向上委員会では「サービス日本一」を目標に掲げ、職員をどのようにリードするか創意工夫に努めており、医師も他職種も同じチームに入って検討をすすめています。委員会が中心になり職員たちに障害者疑似体験をさせていますが、よく見えない眼鏡をかけたり、膝関節を固定して歩いてみると、病院の中のいろいろな改善事項に気がつきます。それを管理者会議で検討し、可能なことは直ちに改善するようにしています。このことも患者さんや家族に評価されている一因ではないかと思います。

 ディズニーランドになぜリピーターが多いかというと、お客様が期待する以上のサービスを提供しているからだと思います。「あそこは良かった。また行きたい」と言うのは、あそこへ行ったらまた同じように感動を伴うサービスが受けられるということを言っているわけです。
 
 最初、私は、ディズニーランドではすべての職員にキャストとしてのすばらしい資質を育てていったのか、すごいことだと思ったのですが、実は、感性のない人は面接試験で排除しているんですね。病院は、国家試験による免許を持っている職種の場合、大抵は受け入れなければなりません。感性では選別できないんです。ディズニーランドのように最初から感性のある人を選別するわけにいかないんです。感性のない人の教育なんてできません。そこがつらいところです。



グラーネ北の沢

介護老人保健施設 グラーネ北の沢
 
Vol.2へつづく・・・












トップへ